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the dillinger escape plan with mike patton "irony in a dead scene"

思い返せば、2002年のミュージックシーンのテーマは『カム・バック』だったのです。
たとえば、・・
・GUNS AND ROSESがサマーソニック'02/MTV Award出演。
年内にアルバム・リリースの見込み。
・JANE'S ADCITIONが復活、フジロックフェスティバル'02に出演。
・クリス・コーネルがRAGE AGAINST THE MACHINEのメンバーと合流し、
AUDIOSLAVEとして復活。
ちょっと考えただけでも、これだけの復活劇がありました。
他にも"HANOI RCKSが復活、サマーソニック'02に出演"なんてのもあるのだが、
あまり触れたくないので割愛します。
そんな2002年に重要人物がまた一人、表舞台に帰ってきました。
今回取り上げる、元FAITH NO MOREのマイク・パットンです。
FAITH NO MOREとは、90年代初頭にファンク、ヒップホップ、メタルを融合させたスタイルで、
ミクスチャーの先駆けとも言えるバンドです。
『レッチリかFAITH NO MOREか』と言われた時期さえもあったのですが、
折悪しく『グランジ・オルタナ勢主催、ダサダサヘヴィーメタル一掃キャンペーン』が勃発。
レッチリと異なり、明らかにメタルをルーツにしたミクスチャーであった為に
『ヘヴィーメタル=ダサダサ抵抗勢力』のレッテルを張られ
FAITH NO MOREは闇に葬られてしまいます。
そのFAITH NO MOREのマイク・パットンが、フジロックフェスティバル'02にも出演した
the dillinger escape planとコラボレイトして作成したのが、今回取り上げるアルバムです。
the dillinger escape planよりもマイク・パットン目当てで買ったので、
今回取り上げるにあたって、the dillinger escape plan自身の曲も軽く聞いてみました。
これがなかなか深いバンドです。第一印象は、エクストリーム系です。
エクストリーム系とは、工事現場並みの轟音と断末魔のような絶叫で塗りつぶされた
デス・メタル・ファンも眉をしかめるようなエグい音楽です。
ただ、the dillinger escape planが、ただのエクストリーム系ではないのが
複数のリズムを組み合わせるというテクノ的要素を持つ所でしょう。
ツインリズムギターで、なおかつベースもベゴベゴ弾きまくっています。
そのリズムパートが、曲が変わったのかと錯覚するほどの激しい変拍子を連発。
この辺りが、NAPALM DEATHのような初期エクストリーム系との違いです。
エクストリーム系であり、デジタル・ロックの流れもある。
分かりやすく言うと、
・吉野家で出された味噌汁がぬるいといって店を爆破するスクエアプッシャー
・江頭2:50が加入したアタリティーネッジライオット
the dillinger escape planとは、そんなバンドです。たぶん。
この変態ブチ切れ演奏部隊the dillinger escape planに、
早すぎたセンスの持ち主・マイクパットンが絡むとどうなるか。
大変レベルの高い変態アルバムを生み出してしまいました。
FAITH NO MORE時代からそのヴォーカルを指して、『七変化』と言われたほどに
変幻自在のヴォーカルスタイルを持つマイクパットン。
叫ぶ、怒鳴る、囁く、歌う、
「あびれぼらびれあびれぼらびれあびれぼらびれ」と吼える(本当に)など、
変態ブチ切れ演奏部隊をバックに、やりたい放題。
一番マトモな曲がAPHEX TWIN "come to daddy"のカヴァーというぐらいですから、
いかにイカれたアルバムかが伺えるでしょう。
このアルバムは、カム・バックというテーマに隠されたもうひとつの本質を
物語っているように私は思いました。その本質とは、
『90年代のMTVによるブームのマッチポンプによって、正当な評価を受けず
ミュージックシーンの表舞台から戦力外通告を言い渡された人達の反逆』です。
テレビで音楽、という新しい流通チャネルを確立した事はMTVの功績ですが、
ブームを矢継ぎ早に繰り出し食いつぶす事で、音楽の需要をキープするというMTVの戦略が
多くの才能あるミュージシャンを潰してしまった事もまた、確かな事実です。
「あびれぼらびれあびれぼらびれあびれぼらびれ」という意味を成さないシャウトは、
食いつぶされたミュージシャンの怒りの象徴ではないでしょうか。
「KORNはやっぱり2NDまでが最高」「最近のヘヴィロックには刺激が足りないと思う」
「会社や学校で気に食わない事が多い」「Linkin Parkは何か物足りない」
そんな方にお勧めしたいこのアルバム。
決して、「UKポップスが大好き」とか「RADIOHEADで狂ったロックに目覚めました」
という方にはあまりお勧めできないアルバムです。
が、全体で18分03秒なので辛い時間はあっという間とも言えます。
変態系へヴィーミュージックを好む私は、
今後も、この様な変態さんを暖かく見守りたいと思います。
(公開時期:2002年11月)
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