DAMAGEPLAN "NEW FOUND POWER"

『音楽は螺旋階段のように発展している。
上から俯瞰すれば同じ場所をグルグル回っている様でいて、
横から見れば、ちゃんと上に向かって上っている』
かのポール・マッカートニー卿のお言葉です。
この螺旋階段の構造を見る事は、長く音楽を楽しんで初めてできる事です。
ガレージ・パンク・リバイバルなどは典型的な例ですが、
もっと細部に渡って観察する事も可能です。
『メロコアバンドなのに、ベーシストがスリー・フィンガー・ピッキング。
なんかヘンだなと思ったら、ギターがツインリードをキメて大笑い』
などという楽しみ方も、あるといえばあると。
そう、今回は素晴らしきマニアの世界。
今回ご紹介するDAMAGEPLANは、惜しまれつつも解散したPANTERAの
ダイムバック・ダレル(G)&ヴィニー・ポール(Ds)兄弟、
通称アボット兄弟が結成した新バンドです。
(ダイムバック・ダレルさんは2004/12/8、銃撃され帰らぬ人となりました。)
ニュー・メタルへのターニングポイントとなったのが
PANTERAの出世作"cowboy from hell"でした。
本作以降、ヘヴィ・メタル・シーンに低音の重いギターリフを
主軸としたバンドが増え、現在のニュー・メタルへと繋がっているのです。
しかし日本では、このターニングポイントに対し、
ヘヴィメタルの権威・BURRN!誌が『あたしゃ認めないよ』と
スピードワゴンの井戸田さんのように突っ込み、黙殺。
メロディを重視した従来のメタルを盛り上げ続けます。
一方BURRN!以外の音楽誌は、オルタナブームへと傾倒し
『僕たちメタルとか嫌い』と、このターニングポイントをこれまた黙殺。
これにより、日本に於いてはメタルシーンの螺旋階段が断絶し、
OZZFESTムーブメントがピンとこなかったり
見た目でフックしやすいSLIPKNOTファンだけが異常に多い、
という状態になっています。
本作を、同じくPANTERAのヴォーカリストであるフィリップ・アンセルモさん
が立ち上げたsuperjoint ritualと比較した時に興味深い点が、
いずれのバンドもPANTERAとは似て非なるヘヴィネスを追求し、
全く別の音楽性になっている点です。
superjoint ritualがギチギチに詰めた重い音でセッション風メタルを作ったのに対し、
DAMAGEPLANはギターリフを前面に出した重く鋭い音を作っています。
どちらもピロピロ鳴る"ヘヴィー・メタル"ではなく
真に重い音を目指すヘヴィメタルです。
そして、いずれの音楽性もPANTERAを感じさせる音でありながら、
PANTERAとも、既存のヘヴィメタルとも異なる音楽となっています。
"ニュー・メタル"と呼ばれる現在のヘヴィ・メタルの主流派とは
一線を画したアルバムを作るのが結局ベテラン、という構図はなかなか面白いです。
螺旋階段は行きつ戻りつ上っていく物なのだな、とつくづく感じます。
ヘヴィメタルの『螺旋階段』がブチ切れた日本では、
本当にどうでも良い存在でしかないであろう
superjoint ritualとDAMAGEPLANですが、
primal screamとイアン・ブラウンよりもシーンに貢献する発展的解散だと、
私としては思います。
ヘヴィメタルだったら24時間聞きっぱなしでも平気、
という10年前の私みたいな人にお勧めしたいアルバムです。
(公開時期:2004年3月)
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